USD/JPY見通し、156円割れの円高と雇用統計前に見る資金管理

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9月3日の夜、USD/JPYが156円を割り込んで155円台まで下げてきたというニュースが流れてきた。ここまで一気に円が買われるとは正直思っていなかったので、まず何が起きているのかを確認するところから始めた。

みんかぶ FX/為替は21時35分、NY時間の取引で安値を155.71円レベルに更新したと伝えている。ザイFX!も21時18分の速報で「ドル155.85円、円買い加速」と伝え、材料として日銀の利上げ観測を挙げていた。Yahoo!ファイナンスに配信されたトレーダーズ・ウェブの記事も、20時27分の時点で「円高止まらず、ドル円は156円割れ」と書いている。複数の情報源が同じ方向を報じているので、単発の思惑ではなく実際に円買いが強まった場面だと見ていいはずだ。

自分がこのタイミングでUSD/JPYの価格を取得したのは21時43分で、そのときの終値は155.664円だった。ニュースで見た数字と近い水準なので、この時間帯にかけて155円台後半まで下げが進んだという流れは矛盾しない。

USD/JPYの4h足ローソク足チャート。期間は2026-07-24 06:00 〜 2026-09-03 18:00(日本時間)。20MA・50MA・100MAを重ねて相場環境を示している。取引時間外の6区間は詰めて描き、破線で位置を示している。チャートはTradingView Lightweight Chartsで生成。
USD/JPY 4hの相場環境。ローソク足に20MA・50MA・100MAを重ね、現在の流れを確認するチャート。価格はtwelvedata。Chart by TradingView Lightweight Charts — https://www.tradingview.com/

なぜ円が買われているのか

円が買われた材料としてザイFX!が挙げているのは日銀の利上げ観測だ。中央銀行が政策金利を上げると、その通貨で預けたり運用したりしたときの利回りが上がるので、金利目当ての資金が集まりやすくなる。利上げが実際に決まったわけではなく「観測」の段階でも、思惑だけで通貨が動くことはよくある。

もう一つの材料はドル側にある。Yahoo!ファイナンスが伝えたFRB理事の発言は、ディスインフレ(物価上昇率が落ち着いていく動き)の傾向が続くなら金利を据え置く方針を支持する、という内容だった。利下げを急がない姿勢とも読める発言だが、この発言のあともドルが積極的に買い戻される様子はなく、円買いが優勢のまま推移している。金利差の思惑だけでは説明しきれない場面もあるのだと思う。

週足は上昇継続、日足・4時間足はもみ合い、という食い違い

値動きの理由を確認したところで、次に気になったのは時間足によって景色がまるで違うことだった。移動平均線(過去の終値を一定の本数分ならして結んだ線で、20本・50本・100本のように期間を変えて何本か重ねて見るのが一般的だ)を並べると、週足と日足・4時間足で結論が割れている。

週足ベースでは20週の移動平均が159.584円、50週が157.229円、100週が153.224円で、期間が短い順に上から並んでいる。100週の移動平均自体も5週間前の152.487円から153.224円へじわり上向いているので、数字の上では上昇トレンドがまだ壊れていない。週足データを取得できた2024年5月末以降の範囲で見ると最安値は139.580円で、そこからの戻りが続いている範囲内、という見方ができる。

USD/JPYの1week足ローソク足チャート。期間は2024-05-27 09:00 〜 2026-08-31 09:00(日本時間)。20MA・50MA・100MAを重ねて相場環境を示している。チャートはTradingView Lightweight Chartsで生成。
USD/JPY 1weekの相場環境。ローソク足に20MA・50MA・100MAを重ね、現在の流れを確認するチャート。価格はtwelvedata。Chart by TradingView Lightweight Charts — https://www.tradingview.com/

ところが日足では20日の移動平均が159.074円、50日が160.628円、100日が159.989円と、50日が一番上、20日が一番下という順番になっていて、きれいには並んでいない。4時間足はさらに極端で、20MAが159.264円、50MAが159.312円、100MAが159.236円とほぼ同じ水準に団子状態で並んでいる。現在値155.664円は、これらの移動平均線より3円台半ばから5円近く下にあるから、直近は移動平均線がまとまっていたところから一気に下へ抜けた格好だ。

週足はまだ強気の並びを保っているのに、実際の値段はその週足の20週線からも下にいる。長い目で見た上昇トレンドが終わったと決めつけるには材料不足だが、短中期の勢いは明らかに下向きに転じている。この食い違いを見て、方向を決め打ちするより、どちらに転んでもおかしくないという前提で構えたほうが安全だと感じた。

上に行くならどこまで、下に行くならどこまで

上下どちらのシナリオも、根拠になる水準を先に決めておきたい。下方向は、直近およそ1カ月半の4時間足ベースで安値になっている155.461円が最初の目安になる。ここを割り込むようなら、過去半年ほどの日足ベースの安値圏である152円台後半まで下げ余地が広がる可能性がある。上方向は、日足・4時間足の移動平均線が集まっている159円台前半から、日足の50日線がある160円台後半にかけてが最初の壁になりそうだ。

どちらに転ぶにしても、その分かれ目になりそうなのが翌9月4日(金)21時30分に発表される米雇用統計だ。

雇用統計前に確認しておきたい資金管理

みんかぶの経済指標カレンダーによると、非農業部門雇用者数の市場予想は前月比5.5万人増で、前回の-2.3万人からの反発が見込まれている。失業率は前回と同じ4.1%の予想、平均時給は前年比3.0%(前回3.2%)とやや鈍化する予想になっている。前回がマイナスだっただけに、予想を上回ればドルが買い戻される場面もありそうだし、逆に弱い結果が出れば今の円買いの流れに勢いがつく可能性もある。

指標発表の前後はスプレッドが広がったり、値が飛んだりしやすい。ポジションを持ったまま指標をまたぐなら、値幅を普段より広めに見て、いくらまでの損失なら受け入れられるかを先に決めておく必要がある。

考え方の順番はこうだ。まず自分の資金に対して1回の取引でどこまで損失を許容するかを決め、次に損切りを置く値幅(pips)を決め、そこから逆算して取引数量を決める。このサイトの検証では資金100万円・レバレッジ35倍を前提にしているので、それを例に数字を当てはめてみる。

資金と許容損失率から損切り幅ぶんのロット数を逆算する4段階の順序図
資金と許容損失を先に決め、損切り幅(pips)からロット数を逆算する。雇用統計のような高ボラティリティ指標の前に有効な考え方。

資金100万円に対して許容損失を2%と決めると2万円になる。USD/JPYは1pips=0.01円で、1万通貨あたりだと1pipsの値動きが100円に相当する。仮に損切り幅を50pips(0.50円)に置くと、1万通貨あたりの損失は5,000円になるので、2万円の許容損失に収めるには1万通貨の4倍、つまり4万通貨(0.4ロット)程度が上限の目安になる。実際の数字は自分の資金と決めた損切り幅次第で変わるので、FXピップ値計算ツールで1pipsあたりの損益を先に確認しておくとロット数を決めやすい。

ロットが決まったら、その数量を保有するのに必要な証拠金も確認しておきたい。155.664円で4万通貨を保有する場合、想定元本は約622万6,000円になり、レバレッジ35倍で割ると必要証拠金はおよそ17万8,000円という計算になる。手元の資金に対してこの証拠金がどれくらいの比率になるかは、ポジションを取る前に必ず見ておきたい数字だ。証拠金計算ツールに自分の資金とロット数を入れれば、この数字はすぐに確認できる。

明日以降、何を確認するか

今の時点でどちらに転ぶと決めつけるのは早いというのが率直な感想だ。週足はまだ上向きの並びを保っているし、日足・4時間足は方向感を失っている。だからこそ、9月4日21時30分の雇用統計の結果と、それを受けて日足・4時間足の移動平均線が再び揃うかどうかを見ていきたい。日銀の利上げ観測についても、続報が出れば円の方向を左右する材料になるので合わせて追っておくつもりだ。

相場は予想通りに動くとは限らないので、ポジションを持つときはまず損切りラインを決めてから臨むようにしている。